第14章 幸福②(輪虎side)【R18】
その日、葵がずっとそわそわしていたと下僕達に聞き、僕が帰ってからも全く目を合わせないようにしているのが可愛いくて面白くて…
すぐに押し倒したい気持ちだったけど何とかここまで持たせた。
部屋に入るとどんな反応かな?なんてクスクス笑いながらいつもの調子で部屋に入った。
「葵ー、入るよー。」
その瞬間、焦って立ち上がった様で椅子が大きな音を立てて倒れていた。
「いや…あの…これは……」
言いながら椅子を戻す姿はホント可愛い。
「あはは。葵、ちょっと落ち着きなよ。」
「ごめん……」
慌てたことが恥ずかしいのか僕に背を向けてしまったから後ろからそっと抱き締めた。
それだけでふわっと葵の香りがしてゾクリとする。
「そんなに意識してくれてるってことはいいんだよね?」
「いや、あの…ダメ…なワケじゃないんだけど…えっと…だから……」
恥ずかしくて言葉が上手く出ないのか途切れ途切れになっている。
そして、首筋がほんのり色付いているのが僕の情欲をそそる…思わず首筋に唇を這わせ軽く吸っていた。
「ん……」
「嫌なの?」
(嫌って言われても今日こそ止められそうにないけどね…)
そっと囁くとくるっと葵の体を反転させ微笑んだ。
「あの……何で…私?」
「は?」
何で今その質問なんだろう?と首を傾げてしまった。
「いや、もっと綺麗な人だっていっぱいいるのに…」
(この子は自覚が足りないな~…だからあんなに無防備なのか?)
「葵は可愛いし綺麗だよ。」
正直に思っていることを告げると、頬に手を添えニッコリ微笑んだ
葵はもう僕と目を合わすことが出来ない。
「あの…それに…ほら、中華の人間じゃないし…」
「僕は魏の人間じゃない。」
(ふふ…何とか流れを変えようとしてるね?無理無理、逃がさないよ…)