第13章 幸福①(夢主side)【R18】
私は部屋でずっと落ち着かないでいた。
(もしかしたらこのまま来ないこともある?いやいや、それはないよね…
て、言うか…輪虎様…いや、輪虎ってあの顔で30代…しかも将軍なんだからきっとモテるんだろうな…
私のどこが良かったんだろ?今まで綺麗な恋人とかたくさんいたんだろうな…)
色々考えていたらふぅ…とため息が出てその時、軽やかな声が聞こえた。
「葵ー、入るよー。」
いつもの調子で輪虎が部屋に入ってきた。
考え事をしていたせいもあって物凄く焦ってしまい立ち上がった瞬間、椅子が大きな音を立てて倒れた。
(しまった!これはかなり恥ずかしい…)
「いや…あの…これは……」
言いながら椅子を戻すといつもの優しい笑い声がした。
「あはは。葵、ちょっと落ち着きなよ。」
「ごめん……」
居たたまれなくなって輪虎に背を向けると後ろからそっと抱き締められ、それだけで真っ赤になって心拍数が跳ね上がった。
「そんなに意識してくれてるってことはいいんだよね?」
「いや、あの…ダメ…なワケじゃないんだけど…えっと…だから……」
恥ずかしいし焦るしで言葉が全く出なかった。すると首筋に唇が触れ軽く吸われた。
「ん……」
「嫌なの?」
そっと囁かれるとくるっと体が反転して目の前に微笑む輪虎がいた。
「あの……何で…私?」
「は?」
ここまで来てそんな質問をした私に首を傾げている。