第11章 名前①(夢主side)
廉頗将軍や輪虎様達は明け方まで飲んでいたようだった。
目覚めて外に出ると庭で輪虎様がぼんやり立っている。
「おはよう?輪虎様…?」
振り返った輪虎様は明らかに眠そうにしている。
(あれ?もしかして貫徹?)
「んー…おはよ。あはは、貫徹で飲まされたよ~さすがに眠いね。三十路には堪えるわ。」
自虐的に笑って見せてくれたけど、貫徹とかどうでも良かった。
(三十路!?30オーバー?ホントに??)
もう人生で一番驚いたと思う。
「えええっっっ!!??30代ーー!?」
自分でも驚くくらい凄い声が出てそこら辺の鳥が慌てて飛んで行った。
「え~…結構傷つくな~。これでも童顔のこと気にしてるのにー。」
ちょっと拗ねたように顔を逸らされてしまった。
(しまった!そりゃ気にしてるよね…仮にも将軍なのに童顔なんて言われたら…)
「あのっ!そんなつもりじゃ…ごめん!もっと若いと思ってて…その…若いのに将軍なんてすごいな…とか……」
全くフォローになってない言い訳をしていると堪えられないように輪虎様が笑い出していた。
「あはは。嘘、うそ。ホントは顔のことは気にしてないよ。結構役に立つんだ、この顔も。
それともやっぱりこんな30代は嫌になった?」
そんなことあるワケなくて激しく首を横に振って必死に訴えていた。
「そんなことない!私が勝手に思い込んでいただけで気持ちは変わらないから!」
「ふふ…ありがとう。でも今さら嫌だ!って言われても離す気はないから。」
言いながらふわっと抱き締められ二人とも笑顔になっていた。
やっぱり笑顔が好きだな…そう思ったけど、さすがにしんどそうで少し休んだ方がいいんじゃないかと心配になった。
「寝てないなら少し休んだら?」
「ん~…そうしたいのは山々なんだけどね~…」