第10章 口付け②(輪虎side)
翌朝、目が覚めると葵はまだ眠っていた。その寝顔が愛らしくて見つめているとうっすら目が開いた。
「え……」
「おはよ。」
ニッコリ微笑むと凄い勢いで飛び起きて、僕もその姿に驚いてビクッとすると葵が寝台から落ちていた……
「葵!?ちょっと、大丈夫!?」
「痛い……」
慌てて抱きかかえて元に戻すともう笑うしかなかった。
「あはは…朝から何してるの?ケガしてない?」
「輪虎様が驚かすから……」
「僕のせいなの?はは…それはごめん、ごめん。」
(ホントいちいち反応が面白いな~)
ニコニコ笑っていると葵がどんどん変な汗をかいている。
「あの…昨日、ずっと一緒だった…?」
「うん。でも寝ちゃうんだから。ホント人の気も知らないで~。」
「あの…まさか……」
真っ青になる葵を見て何を心配しているのかすぐに分かった。
「大丈夫だよ~。さすがに寝てる子を襲うような事はしないから。何なら今から続きしてあげようか?」
(ホントはそうしても良かったんだけどね。よく耐えたもんだよ。)
思いながら悪い笑顔を向けた。
「け、結構です!」
「あはは!嘘、うそ。やっぱり君は可愛いな~…」
焦る葵がやっぱり可愛くて、頭を撫でるとまた赤くなってずっとニコニコしていた。
その日は殿と約束があったから出掛けた。
葵は一人で街に出掛けてみるとワクワクしているようだ。
殿の用件は昼前には終わりゆっくり街を歩いて帰っていると何やら騒ぎが起きている一角がある。
(何か揉め事か?面倒臭いことはやだな~)
そんな事を思いながらも近付くとその騒ぎの中心にいるのは葵とその格好から大王の私兵二人。