第9章 口付け①(夢主side)
翌朝、目が覚めて寝ぼけ眼で目を開けると目の前に輪虎様の顔があった。
「え……」
「おはよ。」
ワケが分からなかったけど、とにかく驚いてすごい勢いで飛び起きるとベッドから落ちた……
「葵!?ちょっと、大丈夫!?」
「痛い……」
慌てて輪虎様は私を抱きかかえてくれていた。
「あはは…朝から何してるの?ケガしてない?」
「輪虎様が驚かすから……」
「僕のせいなの?はは…それはごめん、ごめん。」
輪虎様はずっと笑っていたけど、はっと気付いた。
(私、一晩この人と寝てた!まさか…昨日寝てから…)
「あの…昨日、ずっと一緒だった…?」
「うん。でも寝ちゃうんだから。ホント人の気も知らないで~。」
(やっぱり…て、ことは…)
「あの…まさか……」
真っ青になって言いかけたところで輪虎様が続けた。
「大丈夫だよ~。さすがに寝てる子を襲うような事はしないから。何なら今から続きしてあげようか?」
そう言って悪い笑顔を見せてきた。
「け、結構です!」
ものすごく焦った。心臓に悪すぎる…
「あはは!嘘、うそ。やっぱり君は可愛いな~…」
そう言って頭を撫でられると赤くなるのが分かった。
その日も輪虎様は廉頗将軍のところへ行くと言って出かけ、私は初めて一人で街に出た。
王宮にいる時は自由な時間なんて無くて街も必ず誰かと仕事の為にしか出たことなかった。
だからこの前、輪虎様と一緒に歩いたのが初めてくらい街のことは何も知らなかったから今日は一人でゆっくり散歩するつもりだった。
一人で歩いているとそこは活気に溢れ、みんな笑顔で…そんな所は未来と何も変わらない……