第8章 告白②(輪虎side)
自分の想いを自覚してからも毎日は変わらなかった。…と言うより変えられなかった。
毎日、楽しそうにしている葵を見ていると変に自分の想いをぶつけてその笑顔が消えることが怖かった。
とは言え、どうしたものか…と悩み始めていた頃、葵が何やら考え事をしている事が多くなった。
僕には笑顔を向けてくるがふとした瞬間、影が差している。
(何か悩み事だろうか?僕の想いに気付いて居づらくなってるのだろうか?)
そんな心配をしていたある朝、また葵が何か考え込みながら朝食を食べていた。
(これは一度ちゃんと話を聞かないとな…でも、今日は少し離れた練兵場に行くから明日にでも聞いてみるか……)
そう考えるとニッコリ微笑んで声をかけた。
「葵、今日の練兵は少し遠くまで行くから帰りは遅くなると思う。先に夕食済ませて寝てていいよ。」
すると葵が真剣な表情で話してきた。
「輪虎様、少し話したいことがあるんだけど…今晩いい?」
(何だろう?今日は遅いんだけど……)
「今じゃダメ?帰りたぶん遅いよ。」
「待ってるから…」
その表情に何かある…そう思ったのは直感。
きっと最初に感じた下女らしからぬ雰囲気、歌の事を聞いたときの時代という言葉…それらが関係していると思った。
「うん。分かった。なるべく早く帰るね。」
それでも不安にさせないように微笑むと屋敷を後にした。