第6章 自覚②(輪虎side)
翌朝、いつも通りに目覚めると着替えて外で思いっきり伸びをした。
気持ちのいい朝だ…
すると葵の声がした。
「輪虎様!おはようございます!!」
「おはよう、葵。よく眠れた?」
用意された服に着替え、髪も綺麗に結っていて昨日よりずっと綺麗に可愛いくなっている。
その姿に思わず笑顔になった。
「はい。こんな綺麗な服まで本当にありがとうございます!」
嬉しそうに深々と頭を下げてきた。
「あはは。気にしないで。僕がやりたいだけだから。ねぇ、葵。ちょっとそこでクルッて回ってみて。」
そんな葵をもっと見たくてそう言うと少し戸惑いながらも軽く手を広げて回ってくれた。
「こう?」
「うん。やっぱり可愛い。」
葵の顔がみるみる赤くなってホントに面白くて…もとい、可愛いくて思わず笑うとまた手を握って朝食を食べに屋敷の中に連れて行った。
それからしばらくは普段通りの毎日だった。
王宮や私兵の練兵に出かけ、時々殿の屋敷に行って介子坊さんや姜燕さんと手合わせして……
一方の葵は屋敷で下女と花を植えたり裁縫や料理を教えてもらったりしていて……
夜は一緒にご飯を食べて他愛ない話をする…葵はいつもニコニコして楽しそう。
そんな葵を見ていると僕も楽しくて笑顔になる。
面倒臭い王宮での諸々も苦にならない、練兵も手合わせまでも楽しくなる…
それは今までからは考えられない時間と気持ち…毎日、心も体も軽かった。