第32章 抱擁①(夢主side)【R18】
また見られてる…そう思っても責め立てる指も舌も激しくなってどんどん乱れていた。
「いやっ…見ないでっ……あぁっ……」
首を激しく横に振ったけど限界だった。
「…っ!……ああぁっ…!!」
そのまま全身を震わせて絶頂を迎えた。
「んー、やっぱり可愛い。よしよし。」
満足気な声が聞こえると頬に軽くキスされながら頭を撫でられた。
それはいつも夜を過ごす時の輪虎…優しくて激しくて…ようやく輪虎を感じている…そう思うと快感とは違う涙が溢れた。
「…輪虎……」
「なぁに?待ったは聞かないよ。」
「……輪虎が…欲しい…です……」
言いながら輪虎に抱きついて自分から求めた。私のその行動に輪虎は今までで一番驚いているようだ。
「どうしたの?そんなに積極的なんて。後で後悔しても知らないよ。」
「だって…ずっと寂しくて…怖くて…もう二度と輪虎に触れられないんじゃないかって…だから……」
また涙が溢れると思いっきり抱き締められた。
「輪虎……?」
「ホントに君は…どうしてそんなに……」
それ以上言葉は続かなかった。輪虎の目にも涙が浮かんでいる。
「もうどこにも行かない。葵を置いてどこにも行かない。二度と離さない。だから覚悟してね…」
「うん…もう私の側からいなくならないで…もうあんな一人の時間耐えられないから…」
二人とも泣いていた。そのままキツく抱き締められるとゆっくり中に輪虎が入ってきた。
「あぁっ…輪虎っ……」
「ん……」
そのあとは何度も、何度も愛してるって伝えた…
輪虎も愛してるって何度も伝えてくれた…
あの日…輪虎が出陣した日…こんな夜がまた来るなんて思ってなかった。
どこかで感じていた。きっと輪虎は帰って来ないと……
それでも今ここで輪虎に抱き締められているのもきっと奇跡…
だから今はここにある幸せを抱き締めながら眠ろう。輪虎が隣にいる幸せを抱き締めながら…
秦の夜空にも綺麗な月が架かっていた。