第31章 再会②(輪虎side)
「……いいだろう。でも言いたいことは遠慮なく言わせてもらうよ。」
そう言って右手を出した。
「よしっ!これからよろしくな!」
信も右手を出し僕の手を握り締めてきた。
その手は大きく力強い…そして葵の手のように温かい…
思わず右手に思いっきり力を込めてみた。
「いででで………おい!!輪虎!ホントに怪我人か!?山陽でも思ってたけどその細い体のどこにそんな力があるんだ!!」
「僕の体が見たいなんて子どものクセにいやらしいなぁ。僕の体は高いよ。」
面白くてさらに右手に力を込めた。
「子どもじゃねぇし、思ってねぇ!てか、手ぇ離せ!!」
クスクス笑って手を離すと羌瘣と女の子、葵まで顔を赤らめていた。
「じゃれてねぇでさっさと政のところに行ってこい!」
女の子が顔を逸らしながら言ってきた。
「分かってる!ったく…あ、輪虎。改めてこいつは飛信隊・軍師の河了貂だ。」
この小柄な女の子が軍師のなかとまた驚かされた。
「よろしくな。輪虎。オレのことは貂と呼んでくれたらいい。」
「よろしく。貂。」
貂が手を出してきて手を握り返すと握手した。
そんなやり取りを葵は微笑んで見ていた。
「うし!んじゃ、政んとこ行ってくるわ。輪虎、こっちだ。」
信に続いて歩き出した。
すると羌瘣を葵を止めた。
「葵はこっち。ここで私達と待ってて。」
葵が不安そうにこちらを見てきたけど信が声をかけた。
「大丈夫だ。何もしねぇよ。」
「ふふ…そういうワケだから待っててね。」
葵は羌瘣に促されるままその場にあった椅子に座っていた。
階段を上っていると信が声をかけてきた。
「なぁ、あの女。お前の嫁か?」
「んー?そうだよ。彼女のお蔭で今僕は生きてると思ってる。あげないよー。」
「なっ…!いらねぇよ!」
信の顔は真っ赤だった。
「何想像してるの?子どものクセにホントやらし~」
「だから!子どもじゃねえし、何も想像してない!」
戦場では考えられない姿の信に驚かされながもクスクス笑って階段を上った。
空は魏国より高く感じた……