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君と紡ぐ空の唄【キングダム】

第3章 早駆け①(夢主side)


しばらく走って着いた所は王都近くを流れる川の畔。

水はキラキラ反射し、せせらぎが聞こえ、たくさんの魚が泳いでいるのが見える。
周りは緑の木々、足元には所々可愛い花が咲いている。

馬から下ろされると辺りを見回した。
初めて見る景色に笑顔になった。
「綺麗なところ。初めて来た…」

「ん~そうだね。普段、王宮の外には?」
優しく将軍に見つめられまたドキッとした。

「滅多に出られない…時々里帰りも許されるけど私には帰る所もないし…」

そう私には帰る場所がない…現代を思い出し寂しくなって俯いていた。

「そっか…でも、これからは僕が連れてきてあげる。馬ならすぐだしね。」
ニッコリ微笑まれたけど少し暗い気持ちになってしまった。

(気持ちは嬉しいけどもう無理だよね…だって私は王宮の下女だから…王宮に入る前に聞いた。王宮の人間はすべて王の持ち物になる。だから例え将軍でも勝手なことはできないと…)

「将軍…あの……」
言いかけたところで遮られた。

「輪虎。僕の名前は輪虎だよ。」

(えっ?あっそうか…将軍の名前は輪虎だったよね。)

「あの…輪虎様……」
「『様』も止めようか。」
「は?えっ……」
「輪虎でいいよ。君にはそんな風に呼んで欲しくない。」

(えっと……それっていいのかな?あれ?この時代って身分とかうるさくなかった?)

「いや…さすがにそれは……無理…かな?」
戸惑う私に対して輪虎様はクスクス笑っている。

「分かった。慣れるまで『様』を付けていいから。で、何?」

何を話そうとしていたのか一瞬、忘れたけど続きを思い出した。

「えっと……将軍である輪虎様が王宮の下女を拐ったりしたら何かしら問題なんじゃないかな?って……」
輪虎様の顔は真剣なものに変わっていた。
     
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