第30章 再会①(夢主side)
1ヶ月程すると輪虎は起き上がれるようになっていた。
でも、まだまだ歩くのも大変そうでしっかり回復するまでには時間がかかりそうだった。
それでも、毎日少しずつでも元気になっていく輪虎を見ているのが嬉しくて、掃除も洗濯も食事の支度も…何をするのも楽しくて仕方ない。
その頃から輪虎が考え込んでいる姿をよく見るようになった。
きっとこれからのことを考えているんだと思って、そういう時は何も言わずにそっと遠くから見ているだけにしていた。
でも、これだけは伝えようとある日庭の椅子に座って空を見上げていた輪虎に話しかけた。
「輪虎が決めたことならどこへでもついて行くよ。私の居場所は輪虎の横だから…」
そう笑顔で……
そんなある日の夜…
いつもの様に輪虎と並んで寝ていたけど、隣に温もりがなくてふと目が覚めた。
(ん…?また庭にでも出てるのかな?)
起き上がると外から話し声が聞こえ不思議に思って出てみた。
「輪虎…?どうしたの?」
振り返った輪虎はかなり焦った顔をしていてその先には知らない人が立っていた。
輪虎が必死に私を後ろ手に隠すその様子にようやく只事じゃないことが起こっていると気付いた。
すると対峙していたその人が何かを投げてきた。
地面に刺さったそれは輪虎の剣。戦のどさくさに紛れて無くなったと思っていたもの。
「どういうつもりだ…」
状況が分からず剣を呆然と見ていたが輪虎の殺気立った声にはっとした。
「それを持ってついて来い。信が呼んでいる。」
「意味が分からないが…」
やはり殺気を纏った輪虎の声…