第27章 前へ(夢主&輪虎)
どれくらいの時間そうやって歩いていたのか分からない。
すごく長く感じたが実際は短かったのかも知れない。
すると葵の声が聞こえた気がした。
周りを見渡しても誰もいない…だけど遠くに針穴のような白い光を見つけた。
あっちだと思い相変わらず動かない体を引きずって光の方へ進んだ。
少しずつ光は大きくなり近付いていることが分かった。
その時、誰かに呼ばれた気がして振り返った。
そこには死んだはずの幼い妹がシロツメクサの花冠を持って立っていた。
妹は何かを言っている。でも声は聞こえない。
「え……?何…?」
片膝を付き、妹の目線に合わせると花冠を頭に載せられた。
「ありがとう…」
ニコニコしている妹に思わず笑いかけるとそっと肩を押された。
不意に後ろに倒れてしまうとそのまま白い光に飲み込まれた。
光の中、妹の声がようやく聞こえた。
『まだダメ…』
その声を聞いて眩しい光の中僕は再び意識を失った…