第2章 出会い②(輪虎side)
「どういうつもり!?いきなり連れ去るなんて!将軍なら何でも許されるの!?私の国なら立派な犯罪だから!!」
(驚いた…こんな子初めてだ。大抵自分の名前や将軍という肩書きを聞くとさっきの下女みたいな反応なのに…面白い。ますます興味が湧いてきた。)
「えっと……怒ってる?何で?」
僕のこの言葉に葵は少し拍子抜けしたようだったけどまだ怒りは収まらないようだ。
「何でって…普通、こんなことしたら怒るでしょ?」
さっきとは違う力強い瞳だ。そんな瞳からも目が離せない。
腕を組んで手を顎に当てながら考えた。
「う~ん…確かにそうだけど僕は君を帰したくなかった。それについて来てって言って君は素直に僕について来てくれた?」
少し困った顔をして見つめ返すと葵の瞳が微かに揺れているのを見逃さなかった。
「それは…ついて行かない…と思う……」
「でしょ?なら問題ない。」
そう言って今度は手を掴んで歩き出した。
チラリと振り返ると葵はやはり困惑していたが怒っている様子はない。
少し安心して繋いだ手をしっかり握った。
自分より一回り小さくて華奢な手。
温かくて…小さくて…それなのにどこか力強い手…そんなことを思ってまた空を見上げた。
何故かさっきより綺麗に見えた青空は退屈な日々の終わりを告げていた。