第20章 激情②(輪虎side)
三日後、葵を連れ練兵場にやって来た。
すでに練兵は始まっていて副官が檄を飛ばしている。
「おはよ~。頑張ってるね~」
いつも通り声をかけると僕に気付いた。
「おはようございます!輪虎様。…とそちらは?」
当然だけど、葵がいることに明らかに驚いている。
「ああ、この子が例の子だよ。葵、こっちの子は僕の副官。」
そう紹介すると副官は戸惑っていたけど葵は笑顔で挨拶していた。
「初めまして。葵です。」
「あ、いえ!こちらこそ!」
挨拶を交わすのを見ると予定通りお願いをした。
「あのさ、ちょっとお願いがあるんだ。」
「えっ?はい。何なりと。」
「葵に馬の乗り方を教えて欲しいんだ。」
「は?えっ?葵…殿に…ですか?えっ?」
その予想通りの反応に思わず笑いそうになった。
「うん。この前、基本姿勢は教えたからしっかり乗れるように教えてあげて。牝馬が一頭空いてたよね?」
「えっ?本当に葵殿が乗るんですか?」
「そう。馬に乗れる女の子なんて面白いでしょ?」
ふふ…と笑うと葵がもう一度頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
「あ…はい。分かり…ました。しかし輪虎様、あの牝馬は少々気性が荒いので葵殿には難しいのでは…」
「う~ん…馬は相性だからまぁやってみて。どうしても無理なら考えるから。」
「分かりました!では、葵殿こちらです。」
そう言って副官が葵を連れて行こうとした時、ニッコリ微笑みながら物凄い殺気を出しながら言ってしまった。
「あ、そうだ!分かってると思うけど葵に変な気起こしたらどうなるか分かってるよね?」
「わ、分かっております!!」
副官は変な汗がいっぱい出てるし、葵は恥ずかしいのか赤くなっていた。
そんな二人を笑顔でを見送ると練兵の指揮に向かった。