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君と紡ぐ空の唄【キングダム】

第2章 出会い②(輪虎side)


ここは魏国王都・大梁。
趙国三大天と言われた殿…廉頗将軍の四天王の一人と言われ戦場に立ち続けていたのはもう遠い昔のように思える……
趙国から亡命した殿についてきたのは何年前だ?
亡命してから殿は一度も戦に出なかった。殿が戦に出ない…それは僕も戦に出ないと言うこと。
戦場に立たない日々は退屈だった……



季節はまた春を迎えていた。
王宮本殿から少し離れたこの場所。塀の下を見下ろせば季節の花が咲いている。そして下女達がかいがいしく働いているのもよく見える。
魏国に来てからよくこの場所で壁に背を預けて座っている。
別に何をするわけでも、何を考えるわけでもない。
ただぼんやりできる。天気が良ければ抜けるような青い空、夜には冴え冴えとした月を見上げる。
「退屈だな…」
そう呟いてまた空を見上げる。今日は雲一つない青空だ。
いつもの場所、いつもの時間…そう思ってた。この瞬間まで………



ふと塀の下から綺麗な歌声が聴こえてきた。
初めてのことだ。思わず耳を澄まして聞き入る。

(初めて聴く歌だな。魏国の歌だろうか?)
どうやら下にいる下女が歌っているらしい。

ほんの興味本位だった。
どこの歌なのか?どんな下女が歌っているのか?将軍である自分を見たらどんな反応をするのか?……最後は自分の嗜虐性が出たなと思わずニヤリとしてしまった。

その瞬間、人の倍以上はある塀を飛び降りていた。
ドンッ!と突然の音に下女は弾かれるように振り返りそのまま時が止まったかのように硬直している。

(ん?固まってる?そりゃそうか。突然、人が降ってきたんだからな。将軍と気付いてるかな?)
「あはは。ごめん、ごめん。さっきの歌は君が歌ってたの?」
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