第1章 路地裏イチャイチャ in 団長
ナナバが連れてこられたのは、建物と建物がまるで肩をくっつけあってできたような、細い路地裏。
「ナナバ…、…っ」
「んっ、どうしたの、エルヴィン」
奥の奥まで来たところで、きつく抱きすくめられる。
「はぁ……、やっと……」
「エルヴィン…?」
「ナナバ……」
「ね、どうしたの?大丈夫?」
「…っ、……」
何があったかは分からないが、何かあったのは間違いない。
「よしよし、もう大丈夫だよ」
安心させるように、ナナバはその広い背中をぽんぽんと柔らかく叩いてやる。
「……、すまない」
「謝らないで。何も悪いことしてないんだから」
「……ナナバ」
「うん?」
「ここに来てから、時々、いや頻繁に見られていたのは気付いていたかい?」
「…うん」
噴水のある広場を中心に、放射状に広がる市場。
平日でも訪れる人が多いが、休日となればさらに多くの人で賑わう。
そんな中、通りですれ違った人、店先でやりとりする店主と買い物客、オープンテラスで楽しそうに会話する恋人達、実に様々な人々がナナバとエルヴィンを振り返っていた。