第8章 雨の日
「ひま、落ち着いたか…?」
「……。」
私は雪ちゃんの言葉に、黙ってこくんと頷いた。
「たぶん、失声症だな…。」
「失声症?」
「うん、その名の通り声がでなくなる病気だよ。
声が出なくなった原因は、たぶん大きなショックを受けたからだと思う…。」
私は喋れないため、ノートに今言いたいことを書いて2人に見せた。
『このまま、私の声が出ないままだったら…。決勝戦どうなっちゃうの…?』
秋ちゃんは少し考えて、私にこう言った。
「大丈夫だよ。失声症は、ふとした時に声がでる時があるから。」
『そうなの?』
「あぁ。」
(秋ちゃんは声は出るって言うけど、そんなにうまく声なんて出るようになるのかな…?
いや、あれこれ考えてても仕方ないよね!
まずは、決勝戦までギター弾けるようになってやるんだ…!)
不安な気持ちを抱えながらも、私は頑張ると心に決めた。
決勝戦まであと一週間…。