第8章 雨の日
「♪♪~…」
「お、ゆっきー。最後まで弾けるようになったね!」
「まぁな!」
「ひまたん、歌詞付け足したいところあるんだけど…。」
「なーに?晴花。」
二次審査から、二週間が経過していた。
私達は決勝戦で演奏する、曲を練習していた。
みんな練習に一層、熱が入った気がする。
「それにしても、あっきーがもう曲を作っていたなんて。なんか、意外~。」
「いや、作っていたっていうか…ずっと前に作ってて、完成してなかっただけだよ。」
「まだ完成してないけど、完成したら嬉しいね!!」
私はにっこり笑って言った。
「うん、そうだな!」
秋ちゃんもつられて笑顔になる。
「んじゃ、そろそろ休憩しよっか~。」
そう言って、晴花は手作りのゼリーを持ってきた。
「わぁ~、ゼリーだー!どれにしようかなー?」
全部美味しそうに見えるため、迷ってしまう。
(早く選ばないと、雪ちゃんに取られちゃう…。う~ん…、よし決めた!)
「よし、みかんゼリーにしよ!雪ちゃん、もうみかんゼリーないからね~!」
「……。」
「雪ちゃん…?」
食べ物でいつも取り合いが始まるのに、今日の雪ちゃんはスマホをじっと見ている。
「ゆっきー、なくなるぞ~。」
秋ちゃんも声をかける。が、返事がない。
「なんで、そんなにスマホ見てるの?」
晴花はそう言って、雪ちゃんのそばに寄りスマホの画面を見る。
「こ、これって…。ちょっと、ひまたん。あっきー。2人共来て!」
「なになにー?」
「どうした、晴ちゃん。」
私と秋ちゃんも、雪ちゃんのところに集まる。
「こ、これは…。」
そこに映っていたのは…