第14章 【現代パロディXmas】石田三成編《後編》
『美依さん、とお呼びしてもいいですか?』
先輩が私を名前で呼び始めたのは、
入社してから、半年ほど経った時。
何気ない会話で、下の名前を教えて、
そしたら、先輩は優しく微笑みながら
『美依、って綺麗なお名前ですね。
……貴女にとても似合っていますよ』
そう、褒め殺しのセリフを吐いた。
その日から……
私は先輩を目で追うようになっていた。
優しく、穏やかな先輩
時に色っぽく、綺麗で
少し茶目っ気のある男の人
こんな魅力的な人は初めてだった。
想いは募っても、
私は一歩踏み出す勇気がなくて
見ていれば満足なんて、綺麗事だ
少しは、私を意識してほしい
もっともっと名前を読んでほしい
そんな気持ちに…先輩は気づいてたのかな?
そんな、赤裸々な想いは
まるで夢見る少女のように
ふわふわと心を彷徨っていたのに……