第33章 女の友情を深める○談
「フフ、それって私を親友って言ってくれてるの?」
「え?親友?!」
親友とは、簡単に言ってしまえば、互いに心を許し合っている友人…という事だろう。
根暗で人との関わりを避けていた自分が、そしていつも助けてもらってばかりの自分が、こんなに素敵な相手を気安く“親友”などと呼んでも良いのだろうか。
「わ、私…フレイアには助けてもらってばっかり…それなのに親友だなんて…」
「私だってクレアからはいつも元気を貰ってるよ?“奇行種”なクレアも、“こじらせ鈍感”なクレアも両方好き。私はクレアの事、親友って呼びたいって思ってたよ?」
「本当に??」
「ん、本当!!」
感極まりクレアはフレイアに抱きついてしまった。
「フレイア!嬉しい!」
人生で初めてできた親友だ。
嬉しくないわけがない。
「ハハハ!もちろん私も嬉しいけど、こういう事は兵長にしてあげなさい。ほら、明日早いんでしょ?もう寝なきゃ!!」
ポンポンとたしなめる様に頭を撫でると、フレイアはクレアのベッドをで出ようと身体を起こした。
2段ベッドの梯子に手をかけたところでお互いに目を合わせると、耐えきれず照れ笑いをしてしまった。
「明日は楽しんできてね!お休み…」
「うん…色々ありがとう。おやすみなさい。」
友情が深まるとは、こんなにも素敵な気持ちになるのかと、クレアは初めての想いに心がくすぐられる様な感覚になった。
それと同時にふと思い出したのは訓練兵団時代に初めてできた友人のルドロフのことだった。
ルドロフは今頃立派な憲兵になっているだろうか?
彼ともこんな関係になれてたらどれだけ素敵だっただろうかと、あの時の根暗な自分を今更ながら少し悔いた。
いつかまた再会できるだろうか…その時にはフレイアを親友と呼べるまでの仲になれたと報告したい。
そんな事を考えながらクレアは目を閉じた。
そして明日はいよいよ楽しみにしていたリヴァイとの小旅行だ。
兵舎の外で、しかも二人きりで過ごすなど初めてだ。
嬉しかった事に楽しみな事。クレアの胸の中は温かな気持ちでいっぱいになりながらすんなりと眠りの世界に入っていった。