第2章 按排【現】
こんのすけ様に連れられて夜神様のお部屋に私はいた。
黒を基調とした家具やインテリアで統一され、落ち着いた雰囲気のあるお部屋だった。
さて、と言って私の向かいのソファーに腰を下ろした夜神様を見た瞬間、身体に電気が走った。
この光景に見覚えがあるのだ。
そう、長年見続けたあの夢にあったワンシーンが、正に今目の前で現実として起きているのだ。
そんな私の動揺などつゆ知らず、夜神様は口を開いた。
夜神「初、君は巫女として今まで神に仕えてきたんだよね?
だかもう今まで仕えてきた神は残念ながら遡行軍によっていなくなってしまった。
そこでだ。どうだろう、他の神に仕える...というと語弊があるな...。とりあえず、今度は神を従えてみないか?」
夜神様の言っていることが理解が出来なかった。
それが夜神様にも伝わったようで、こんのすけ様に分かりやすく私にお伝えくださるように仰って本人は珈琲を啜り始めてしまった。
こんのすけ様の話によればこうだ。
“審神者”となって刀の付喪神、刀剣男士様と共に私の故郷を滅ぼした歴史改変を目論む“時間遡行軍”とやらから、歴史を守らないか?ということを夜神様からお誘い頂いたという事だそうだ。
恩人でおる政府の方々からの、そしてもう身寄りのなくなった私にとって、それは受ける他ない案件だった。
しかしどうも引っかかるのは、こんのすけ様がずっと暗い顔をなさっていることだ。
先程部屋で尋ねた時も「首を縦に振られることがなければ」と仰っていたし、なぜあまり良いお顔をなさらないのか...