第8章 *分岐型* パロッティ路地裏イチャイチャ in 共通部分
「♪ふんふん~、ふふふふ~ん、ほいっ」
秋の爽やかな昼下がりに川沿いを歩くと、鼻唄が口をついて出てくる。
美味しいと評判の黒蜜きなこ餅を堪能し、着る物に合わせた可愛い髪留めと、イヤリングも買えたし、これでお昼寝できたら文句なし!と、晴美はご満悦だった。
(それにしても、私がよく寝るから眠り姫って、みんな安直すぎない?)
「ふぁ~~ぁ.....ねむいな......」
さほど歩いていないとはいえ、タラタラとあっち見こっち見しながら移動していたため、一足ごとに疲労感が増してきているのだ。
「........ちょっと休憩ッ!」
そう決めて土手の草っ原に踏み行って、座り心地の良さそうなところへ腰を下ろす。
「ん~~~....ッ、気持ちいいなぁ....」
伸びやかな陽射しに穏やかな風。
幸い今日は、寒くない。
だから
外 の 昼 寝 に は 持 っ て こ い !
「~~~~ッ、寝ちゃえ~~ッ!」
辛抱たまらず思いっきり体を土手へ預ける。
ぐんと草の匂いが近くなって、うろこ雲が少しだけ遠ざかる。
「スゥ~~.......ッ、ハァァァァ~.......。好きだなぁ、この瞬間....」
深呼吸すると、ほんのりと透明感のある甘い薫りに気付く。どこだろう、と首だけ動かして土手を探すと、手に届く所で花が咲いていた。
「これかぁ~。綺麗な花だなぁ...」
薫りに誘われた蝶が如く手を伸ばしてみると、触れた中指にチクリと何かが触れた。
「いった......。トゲ...?」
慌てて手を引っ込めて正体を確認しても、刺さった何かがなければ血も出ていない。
ちぇっ、と中指を咥えて再び大空を仰ぎ見る。
風に乗ってゆったり流れる雲を見つめているうちに、目を開けていられなくなり、心地よく睡魔の誘いに乗った――――――