第2章 貴方しかいない
丸井 Side
俺は、仁王のことが好きな、が好きだった。
コイツには言っていないが、
仁王も1年の時はコイツが好きだった。
けど、お互いに接点もないし2年になってミアが入ってきたことで自然と気持ちはそっちに行ったんだと思う。
いつもアイツは「ミアちゃんは可愛いから。私とミアちゃんがいたら、誰だって向こうを選ぶよ」と言うが、俺は絶対コイツの方が可愛いと思う。
確かに、ミアは幸村くんと並んで歩いていても当たり障りないぐらいお似合いだし、たまに「テニス部のマネージャーって可愛いよな」と言われている。
けど、昔はミアもテニスプレイヤーだったので、力は強いわ身長なんて俺と同じくらいだし、髪型も肩より上で女っぽく見えない。
どっちかと言うと 美人 … か。
それに比べてコイツは顔はもちろん背は低いわ髪の毛もサラサラしてて長くて、守ってやりたくなる。
でも、本人は自分の魅力に気付いていない。
たまに告白されるらしいが、いつも「こんな私を好きになってくれてありがとう」とか言って俺のライバルを増やしてきやがる。
「のう、丸井」
「おい、仁王。お前ミアと付き合い始めたってマジかよ」
「…から聞いたんか?」
「別にそれはどーだっていいだろ」
「そうじゃよ」
「お前、マジで泣かせんなよ。」
「なんじゃ、ぶんちゃんのくせに良いこと言うんじゃな。」
「うるせーよ!」
俺は、優しくない。
だから、仁王がミアと付き合ってもっともっと仲良くしてほしい。
そしてアイツが自分の入る隙はないんだ、って傷付いて。
そうしたら俺のこと好きになってくれるかもしれねえ。
そう考えてしまう俺は重症だと思う。
だけど、アイツにはちゃんと恋をしてほしい。
でも、その相手は俺がいい。
仁王なんか好きになるより、俺のことを好きになった方が良いって、分からせてやる。