第12章 サスケ君
ある任務の帰り道。
「あーー! やっぱり降ってきたーー! もうーー、いやーー!」
ゲリラ豪雨のように激しい雨が、真っ黒な雲空から降り出した。木ノ葉隠れ里までは、まだ十数キロ先。しかも今は師走の寒い季節。
今朝は、阿吽の門前で豪快にずっコケてしまう。しかも大切な巻物を忘れて、さらに帰る道が一瞬分からなくなり、遠回りをしてしまう始末。
任務の途中から、頭痛でガンガンし始める。身体は動かすのも億劫になる程、怠いし辛い。
今日はツイてないし、体調は朝から良くない。
暗い気持ちになりたくないのに、更に追い討ちをかける雨。何て楽しくない日なんだろうか。
はぁぁ……と、溜息を漏らす私は、恨めしそうに雨空を見上げる。
雨が降りそうな予感は、徐々に雲行きが怪しくなる天気の様子から、何となく、知っていた。分かっていた。
里に帰るまで、どうにか持ち堪えてくれたら良いのに、なんて淡い期待は虚しく、撃沈。
雨は容赦なく勢いを増す。私の体温を徐々に奪い始めた。
「……ひっ!!」
雷も地鳴りを立てて鳴り響く。幾度も、真っ黒な空から見える稲光り。落雷するたびに、身体が激しく反応して飛び上がってしまう。
忍のくせに、雷が大の苦手という致命傷。憎っくき雷め。アンタのせいで、私が上忍になれないんだからね!と苦々しく稲光を見つめた。