第16章 ワールドトリガー 風間さん
「花奏」
呼ばれて、風間さんの顔をみた。すこし、言いにくそうな顔だ。
「好きな女が……、ほかの男とベタベタしてる姿は、オレは見たくねえ。今後は自粛しろ」
目を見開いて風間さんをみた。穴が空くほど見てしまう。今、いま、好きな女って言った……!?
「好きな女に、独占欲が出るのは普通だろ」
風間さんが、
ほんのり目を細めて言った。
「……風間さん……」
「だがな」と風間さんは付け足す。
「手紙は読んだが、直に言わねえなら、おれは信じねえ。いま言え」
「……え!? ここで!?」
わたしは周りを見る。
住宅街だ。だれもいない。
「根性見せろ、女だろ」
「……ぇえ……」
いや、その言い方は男に言うセリフですよね、
またそんな睨む。
酒飲んでるから、さらに眼力が深い。
「風間さんの優しいところが、………………好き…です」
たった4文字言うだけで、
心臓がうるさい。
「花奏、覚えておけ」
「はい」
「おまえの好きより、おれの方が上だ」
「か、風間さん⁈」
そんなこと、真顔で……。
「酔っ払って赤いのか?顔が真っ赤だぞ?」
ちがいます!
照れてるんです!
「風間さん!
わたしの方が、ぜったい好きですから!」
「なに、夜中に叫んでんだ」
バカかって、また、
いたくないチョップをいただいた。
「もー、わたし、レディーなのにー」
と、頭をさすってたら、影ができた。
近くに寄った風間さんが、わたしを見る。
風間さんは、
そっと、
わたしの頬にふれ、
ふわりと優しくて
甘いキスを、してくれた。
fin