第26章 これも全て巡り合わせ
食事を終えて秀吉さんは帰ることになり。
その帰り際玄関先まで歩きながら、秀一さんはくどい位に今日決めた約束事を秀吉さんに確認する。
これからは連絡を取れるようになる訳だが、絶対に“赤井秀一”を匂わすような事は文面に入れない、喋らない事、真純ちゃんには何も知らせない事・・・
「分かってる。でも兄さん、あまり無茶するなよ・・・」
「俺は心配要らん・・・お前こそ早く王位を取り戻したらどうだ」
「・・・そうだね、じゃあまた」
秀吉さんはフッと微笑んで、帰っていった。
リビングに戻り、二人で皿洗い。
秀一さんが洗った皿を、わたしが横で拭いて、棚にしまっていく、エラリーでも慣れっこの単純作業・・・
「かおり・・・に、る」
「はいっ?」
名前を呼ばれた気がしたけど、水を流しているせいかその後がよく聞こえなかった。
「かおりのおかげで秀吉と再会出来た。恩に着る・・・」
「・・・お役に立てて良かったです」
秀一さんにハッキリと礼を言われるのって、嬉しいけど少し気恥ずかしかったりして。目を合わせずに作業に没頭する。
食器はたった三人分だし、なんせ二人で片付けるとなればあっという間だ。
最後のお皿を洗い終えた秀一さんは濡れた手を拭き、わたしの背後に周ると後ろから腕を回してきた。必然的に皿を拭く手はストップする。
「ちょっと秀一さん・・・」
「もうそれは明日でいいんじゃないか」
持っていた皿を片手でひょいと取られ、元の場所へ戻され。背中が秀一さんにぴたりとくっつく。
「・・・っ」
「これももう要らんだろ」
今度は布巾を取られて後ろから抱き締められる形になる。
・・・これは、誘われてるんだろうか。もしそうなら、お風呂に入りたい。
「お風呂、入ります?」
「・・・いや、後でいい」
頭のすぐ上から降ってくる低い声が、妙に身体に響く。
お風呂は何の後でいいんだ・・・
「よし、いいな」
「っえ!?」
何が“いい”のか。身体を横抱きにされたと思ったら、秀一さんは歩き出しキッチンを出て寝室へ入り、器用に電気のスイッチを付けると、わたしの身体をベッドにドサリと下ろす。
すぐさまマウントを取られ、斜め上から見下ろされて、心臓が高鳴る・・・でも。