第23章 暗躍する工藤夫妻
翌朝。
既に昴さんになっている彼に起こされる。
「かおりさん。起きれますか?」
「ん・・・っ、お、はよ・・・ございます・・・なんじ・・・?」
「午前六時です」
「ん?はや・・・っんー」
「今日は早く起きた方が良いかと思いまして・・・優作さん達も帰ってきますし」
伸びをしようと身体を動かすとシーツの触れる感触からして全裸であることに気付き。
昨夜の情事を思い出した直後、マスコミの事も思い出す・・・
「外・・・いますか」
「少ないですがいますよ、覗いてみますか」
「・・・気が乗りません」
「まあ、今見なくても直に見る事になるでしょう」
ぼやぼやした頭のまま、重い身体を引きずるようにお風呂場へ行きシャワーを済ませる。
香ばしい匂いに誘われてキッチンに入ると、カーテンを閉めている所為か、夕方のように感じる・・・
でもテレビには朝のニュース番組が流れているから、朝なんだろう。
食卓に着き、昴さんがオーブンで温めてくれたパンを頬張りながらテレビを眺める。
以前この番組に出てた女子アナが、実はCIAの局員で、組織に潜入しているんだと聞いた時は驚いた・・・
あんな清潔感のある美人がスパイだなんて、ほんと人って見た目だけじゃ分からない。
しばらく新一くんの事を報道されないかとテレビを注視していたがそれは無くて。
「出ませんね、新一くんの事・・・」
「ええ・・・まだ情報がガセか真実か、見極めきれていないのかもしれませんね」
とりあえず、今日工藤夫妻が帰ってくるのだから家中の掃除をしようと、立ち上がって動き出そうとした時、玄関のチャイムの音が鳴った。
インターフォン越しに応対する昴さんのすぐ横にわたしも貼りつく。
「はい」
「おはようございます!工藤優作さんですか?」
「いえ、違います」
「もしかして新一くんですか!」
「いえ、私はこの家に居候させてもらっている者でして」
「工藤新一くんは今お宅にいらっしゃいますか!」
「いませんが」
「現在新一くんは、どちらに!」
記者と思われる人達から矢継ぎ早に質問を浴びせられながらも冷静に対応する昴さん。
報道陣は容赦なく人のプライベートにまで突っ込んだ質問までしてくるし、ほんと自分勝手だ。
彼らも仕事なんだろうけど・・・