第20章 恋は盲目
その晩、物凄く現実的で奇妙な夢を見た。
秀一さんに何故か零との関係を知られていて、しかもそれを認められてる?そんな状態だった。
わたしと秀一さんの関係は夢の中でも恋人のはずなんだけど。
「かおりが降谷くんとそうしたいならいい、俺はお前を縛るつもりは無い。自由にすればいいし、俺だって自由にする」
そんなようなことを言われて、絶望的な気分になり。
裏切ってるのはそもそもわたしなのに、彼女が浮気してても顔色ひとつ変えない恋人に腹が立ってくる、という悲惨な展開。
なんで怒らないの?
秀一さんはわたしなんてどうでもいいの?
それってわたしのこと好きじゃないってこと?
怒りにまかせて色々ぶちまけそうになって目が覚めた。
酷い目覚めだ。
隣には寝ている秀一さん。
胸が詰まったように感じる。痛い。
まさか正夢になんてならないよな・・・と、ため息をつき。
しばらくその穏やかな寝顔を見ていたけど。
そのうちまた眠気に誘われて、瞼を閉じた。