第9章 今夜の予定は?
料理の用意ができたようで、先程の女性が部屋に入ってきた。
瓶ビールを零と注ぎ合って乾杯する。
零は運転大丈夫なんだろうか・・・ふと思ったが、運ばれてきた料理の方に思考を奪われ、その心配はどこかへ一旦吹き飛んだ。
料理はどれを食べても美味しくて。さすが公安御用達・・・
「ごちそうさまでしたー!美味しかったぁ・・・」
「連れてきて良かったよ」
ニコニコと笑う零につられて、わたしも笑ってしまう。
「この後は、どうするの?」
「僕は・・・朝までかおりさんと一緒にいるつもりだけど」
そういうことを聞いたんじゃないのに!脳がフリーズしかけ、身体が固まる。
零が立ち上がってこちらに近付いてくる。
「この店のいい所は、もうひとつあるんだ。ついてきて」
肩を叩かれ来るように促される。
てっきりまた抱きしめてくるもんだと思って身構える所だった。
中に入ったときから気になってはいたんだけど、この部屋には階段がある。
その階段を上がっていく零の後ろについていくと、二階にもまた部屋があり・・・
「ここ、泊まれるの・・・?」
「そう。いいだろ?」
和室にも合う雰囲気の、背の低いベッドが二つ。ソファもテーブルもある。
「いいー!日本式のオーベルジュってやつ?」
「一般人は泊まれないけどな」
腕を後ろから回されて、また首筋に顔を埋められる。
「どうする?風呂入るか、少し飲み直すか・・・それとも、今すぐセックスしたい?」
最後の方は一際甘い声で囁かれて、腰が砕けそうになる。
二人で食事に行くと決まった時点で、こうなることはうっすら考えてはいたけれども、こんなに急に誘われるとは思ってなくて・・・顔が熱くなってくる。
きっと赤くなってるだろう耳に口付けられて、更に問われた。
「どうしたい?」
そんな聞き方・・・ずるい。
「零に、抱かれたい・・・」
「うん、僕もだ」
身体が宙に浮き、ベッドに降ろされ組み敷かれる。
何度も唇を重ねて、吸われて、舐められて。唇を優しく愛撫されているような・・・
このキスが、本当に好きだ・・・
「かおりさんの唇、柔らかくて・・・美味しい」
零のだって、柔らかいのに。
うっとりと彼を見つめると、髪を撫でられ、舌が侵入してきた。
・・・すっごく、気持ちいい。