第3章 まだ無題
最近、朝早く散歩をする習慣が着いた。
毎日決まった時間に早起きして決まったコースを歩く。
朝特有の水を多く含んだ空気を胸いっぱいに吸い込んで、この日も一人、歩き出す。
この習慣が少し板について来た所で、ほぼ毎朝同じ少年とすれ違う事に気が付いたのはついさっきの事。
似たような習慣を持っている人と同じようにすれ違う事は少なくないけれど、
その少年は、少しばかり浮いていた。
綺麗に染め上げた金髪。猫背で少し目つきが悪い。
見た目がどう見てもヤンキーだけど、高校生・・・なんだろう。
辛うじて着用しているジャージが学生であることを示している。
朝の爽やかなシーンにはちょっと目立つこの少年は、こんな風に奇異の目で見る私を始め、他の通行人を気にもせずにに今日も真っ直ぐに走り抜けていく。
(朝練、かなぁ)
運が良ければ一日に一度すれ違うこの高校生に、私は何となく興味を持ったけれど、話しかける切っ掛けもないし、何より私は彼より年上の社会人だ。
不審がられるに決まっている。
そんな思いを仄かに抱きつつ、私は自分の決まった散歩コースへと歩きだした。