【 イケメン戦国 】宵蛍 - yoibotaru -
第5章 若菜色 - wakanairo -
「…こんな料理始めてみました。」
「あの、適当に作ったので、お口に合うか分からないけど、食べてみて下さい。」
「…よろしいのですか?」
「はい。どうぞ。」
完成した担々麺を盛り付けて、女中さんに手渡すと、遠慮しながらも口に運んでくれて、
「…!美味しいです!」
「このような味の料理は初めて食べました。」
「亜子様は料理が上手なのですね。」
「山椒の辛味が効いていて、このお料理は家康様もお好きかもしれません。」
「是非作りかたを教えて下さい。」
そう口々に褒めてくれるから、
何だかすごく照れくさくなる。安土城では、今みたいに自分から無理矢理なにかをすることはなかった。思い返せばそれが原因なのかもしれない。
この時代に取り残された気分になったのは、
慣れようと、着付けや日常のいろはを教えて貰っても頼るばかりで、私が自ら飛び込まなかったから。
女中さん達に囲まれて、
料理を作りながら、私はある決心をする。