第2章 寒い冬になると
『寒い・・・』
身体が重い。
息がしづらい。
私はベッドから動けずにいた。
コンコンコン、と部屋のドアをノックする音が聞こえて、
「ユナ、起きてるか?」
と、いつもなら朝食の用意をしているはずの私が起きて来ないことに気がついた父さんが、私の部屋に入って来る。
ぐったりとした様子の私を見て、父さんはベッドに駆け寄り、心配そうに私の額に手をあてて顔色を確認している。
「寒くなってきたからな・・・。当分の間、父さんは家にいるから、ユナはゆっくり休むんだ。何か食べれそうか?」
父さんは大きな優しい手で私の手を包んで、安心させるように声を掛けてくれる。
私の母さんは、生まれつき身体が弱い人だった。
そして、それは私にも遺伝しているようだった。
私の場合は、寒い季節になると高熱や呼吸困難と言った症状が現れる。
その時々によって程度は違うものの、しばらく動くことが出来ない程に体が衰弱する。
幼い頃に、父さんが連れて来たお医者さんがみてくれたけど、今はまだ治療薬はないそうだ。
この身体とうまく付き合っていくしかないんだと言うこと。
しかし、成長していく過程で、体質にも変化はあるだろうと父さんは私に言った。