第9章 想いの方向
リヴァイside
『また私を見つけてくれて、助けてくれて、ありがとう。』
ユナが言った。
昔にも、ユナを探して助けたことがあった。
(はぁ・・・んなこと、当たり前だ)
「あぁ、俺が何度でも見つけてやるさ。」
俺はユナをそっと引き寄せて、腕の中におさめた。
しばらくして、ユナの手が俺の背中に回ったのがわかった。
「・・・!」
俺はハッとして、ユナの体を引き離した。
(何をしたんだ、俺は・・・)
「・・・まだ休め。無理すると長引くぞ。」
そう言って、ユナにベッドに横になるよう促す。
するとユナは、
『まだ、ここにいてね。』
と、甘えたように俺を見る。
「あぁ、お前が眠るまで一緒にいる。」
俺は、ユナの手をそっと握った。
ユナは疲れていたのか、安心したのか、目を閉じると静かに寝息を立てた。
ユナの寝顔を見ながら、さっきの自分の行動を考える。
思わず抱きしめるという、無意識ながらも「妹」にすることではない行為に、もう自分の気持ちをごまかせない。
(俺は・・・お前が好きだ・・・)
家族としても、仲間としても、何よりも大切なんだ・・・。
数日して、ユナは多少ふらつくものの、部屋から出て来れる状態にまで元気になってきた。
一応、念のためみてもらった医者からは、今回は雨にも打たれて肺を患ったのだろうと言うことだった。
確かに、いつもより状態は悪い。
しばらくは、俺かファーランが必ず家にいるようにした。
今回のことで、俺はユナへの気持ちを自覚した。
それと同時に、ユナにちゃんとした医療を受けさせてやりたいと思うようになった。
それは、地上での生活を求めること・・・。
だか、この地下街においては、地上での居住権を手に入れることは不可能に近い。
そんなことを考え始めていた。