第5章 出会い
その出来事をきっかけに、ユナとリヴァイの間には少しずつ会話が増えていった。
元々明るく話好きなユナのたあいのない話を、口数の少ないリヴァイが黙って聞いているというような状態が普通になっていた。
父親との2人暮らしのおかげで、料理や洗濯、掃除などの家事をこなすユナはとてもよく動く。
加えてリヴァイも、ケニーにここに連れて来てもらってから1人で生活できるようになっていたため、特に掃除はこだわりを持ってやっている。
さすがに料理はユナが作る方が断然おいしかった。
相変わらずリヴァイは無愛想で表情に乏しいが、ユナが楽しそうに何かをしているのを、時折優しい目で見るようになっていた。
久しぶりに2人の様子を見に来たケニーは、リヴァイの変化に笑いが止まらなかった。
笑うケニーを見て、2人は顔を見合わせて首をかしげる。
「おい、ケニー。何か変なもんでも拾って食ったんじゃねぇのか?」
バカにしたように言うリヴァイ。
『そうだよ、ケニー。どうしたの?いきなり来たと思ったら、いきなり笑い出すんだもん!』
リヴァイとは真逆に心配してくるユナ。
「いやぁ?あんなにギスギスしていたお前らが、あまりにも仲の良い兄妹みてぇになっちまってっからよ。」
(嬉しい・・・ってぇのかな、この感情は)
ケニーはからかうように言いながらも2人を暖かい眼差しで見ていた。
「はぁ?!何言ってやがんだ。このクソ野郎が・・・クソみてぇにつまんねぇこと言ってんじゃねえ。」
リヴァイは内心照れながら、からかってくるケニーを睨みつける。
そんなやりとりを見ていたユナは、ケニーの言った「兄妹」という単語に、家族が出来たようで嬉しい気持ちになるのだった。