第4章 その死神、合流
「せんぱーい!」
交差点での回収作業を終え一息ついていたところに、ロナルドが合流した。
「ユキ先輩、お久しぶりです。相変わらず可愛いですね☆」
「...そっちも相変わらずだね。」
いつものようにロナルドが軽い口調で話しかけてくる。
誰に対してもすぐ打ち解けられるのは、コミュ障の私にとって羨ましい部分でもある。
さすが毎晩のように合コンに行っているだけあるな...と感心する。
「ちょっとロナルド!アタシは無視!?」
サラッとロナルドにスルーされたグレルが抗議の声を上げる。
「ああ、グレル先輩もお久しぶりです。」
「“も”って何よ!......まぁ、いいワ。次のお仕事へ行きましょ。」
さらに文句を言おうとしたグレルが、次の仕事の時間が迫っていることに気づき、大人しくなる。
この間始末書を書かされたばかりなのを思い出したのだろう。
「次は...例の悪魔ですね。」
ロナルドが、死亡予定者リストをペラペラとめくりながら言う。
「ええ、町外れにある教会ネ...表向きは。そこで毎週貴族どもが悪魔召喚の儀式を行っているそうヨ。」
「俺らはそこに乗り込んで悪魔を退治する、ってことっスか?」
「ええ。先週も別のサバト会場に現れて、魂を盗み食いしたそうよ。仕事に支障が出るとめんどくさいから、さっさと殺っちゃいましョ。」
「そうッスね...」
「......」
二人の会話を聞きながら、私はあることが気にかかっていた。
「ねぇ...悪魔は、どうしてそんな儀式を襲うのかな?」
「アん?」
「だって...このサバト、割と少人数で行われてるし、ただ魂を食べたいならもっと人が集まるサバトがあるはずじゃない?」
そう...今回も、前回も、そんなに大規模な儀式ではない。
上級の悪魔が空腹を満たせるほどの人は集まっていないはず...
「そう言われればそうネ...まぁでも、ユキの考えすぎじゃない?悪魔なんて、気まぐれな生き物デショ?」
「そうだといいんだけど...」
私は胸がザワつくのを感る。
なにか、得体の知れない誰かに操られているような...
「先輩?さっさと行きましょうよ。」
ロナルドの脳天気な声に促され、私は2人と一緒に町外れへと向かった...