第1章 再会
#麗日Side
あれ…爆豪くん?
向かい側から歩いてくるその人は昔と変わらない仏頂面でまるでヤクザのような目をしていた。
どうしよう、声、掛けてみようかな。
迷っている間に2人の距離が縮まっていき、慌てた私は思わず声を掛けてしまっていた。
「あの、爆豪くん…!」
彼は立ち止まり、自分の名前を呼ぶ声の主を探す。
そして私を見つけると怪訝そうな目をした。
やば、声かけなかったほうが良かった…?
そう思ったけどもう遅い。私は爆豪くんの方に駆け寄り「久しぶり」と笑ってみせた。
「テメェか、丸顔。」
丸顔。雄栄に通っていた頃につけられたあだ名だ。
勿論、私のことをそう呼ぶのは彼しかいなかった
なぜなら彼はクラスメイトの皆に変なあだ名をつけて普段からそのあだ名で名前を呼んでいたから。
「相変わらずだね、爆豪くん」
「うるせぇ、テメェこそ丸顔から変わってねぇ」
「そんなことないよ!痩せたもん‼」
「で、何の用だよ」
これといった用なんてなかった。彼を見かけて思わず声を掛けてしまったのだから。
数秒間固まって、それから慌てて答えた。
「いや、その、懐かしいなぁって…」
苦笑いする私にまた怪訝そうな顔をして「そうかよ」と彼は言い、それから何も言わずに私の前から立ち去っていったのだった。