第4章 人の身、銃の心~if~
誇り高い騎士は感情の無い目で引き金を引いていた。
その様子を横目に冷たいスーツのポケットを探る。名刺と見比べたリストに線を一本引いた。まだまだ火の粉を蒔く奴らは居る。これでいくつめだっただろう。
「シャルル、次はどこだ?」
本当に彼は、マスターの敵に容赦が無い。えっとね、と線の下の名前を読み上げれば、壊れた燭台から広がる火で緑の瞳が瞬くのが見えた。変わらずそこに光は無い、……きっと、今の俺の顔にも。
マスターと生きられないなら人じゃなくたって変わらない。思うように動く体があるのなら、思うように敵を屠りに行ける。だって俺達は、銃だから。人を殺す、武器なんだ。
一緒にスイーツを食べて笑った時が惜しくない訳じゃない。
自分で選んだことなのに変わらず頬は濡れる。戻れないと、戻ってはいけないと分かってる。でも。
ねぇ、マスター。こんな俺でも。武器の俺でも。
―――君を、愛してもいいかい?