【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第3章 瞬く星のように囁いて
ある日の放課後、雪菜は帰宅しようと校門を出ると、女子生徒の人だかりが目に入った。
しかし、さほど気にする様子も無く立ち去ろうとすると、背後から声を掛けられた。
「やっと出てきましたね」
「遅せぇ!」
「…ごめん…って、勝手に待ってただけですよね」
反射的に謝った雪菜だが、考え直して付け加えた。
「とか言ってるけど、本当はうれしいんだろ?」
日彦はニヤリと笑うと、雪菜の顔を覗き込む。
顔を赤くしながらも平静を装う雪菜は、月彦に視線を向けた。
「よ、よく、あの人だかりから私が見えましたね」
「当然です。女神の姿を見逃すなんて、ありえません」
月彦もまた、不敵に笑うと必要以上に雪菜に近づいた。
二人との距離と、歯の浮く台詞に思わず一歩下がる雪菜。
「おーおー雪菜ー!美少年二人に言い寄られて良いご身分だねー」
「鞠那?!」
そこに現れたのは、雪菜のクラスメイトで親友の鞠那だった。