【防衛部】BITTER&SWEET CHOCOLAT
第1章 双つ星に魅せられて
「あいつは仕方なく来てただけなんだよ」
「あの表情を見れば一目瞭然でしょうに、気付かないんですか?」
二人は一層男の子に近づき、強い口調で囁く。
「だいたい、お前ごときにもったいねーんだよ」
「分かったら、二度と近づかないでくださいね」
殺意にも似た鋭い眼光の日彦と、恐いくらいの笑顔を見せる月彦。
「な、何なんだよ」
男の子は二人の迫力に負け、腰を引かせて走り去った。
「んだよ!根性ねーな」
吐き捨てる日彦。
「それより、大丈夫でしたか?」
いつもの表情に戻り、雪菜を気にかける月彦。
「何かされたりしてねーよな」
日彦もまた雪菜に駆け寄り声をかける。
「は、はい…大丈夫、です…」
雪菜はホッとた様子で二人を見上げると、ようやく笑顔を見せた。
その瞬間雪菜のお腹が小さく鳴った。
「あ…」
「え…?」
二人に凝視されると、雪菜は顔を赤くしながら笑って見せた。