第7章 桃色の花
ゆっくり目を開けると、視界がぼやけた。
少しずつ焦点を合わせると、桜色の絨毯はそこになかった。
「………ぇっ…」
懐かしいあの日…カカシ先生の優しい笑顔…
………夢…?
そして目の前にある光景が、現実…??
むせ返るような血の匂いが鼻をつき、思わず吐きそうになる
そうだ、ヒマリが…!!!
「ヒマリッ!!!!」
(待って、待って、おねがい…)
「ヒマリ!!!!」
沢山の人が倒れている。
縺れる足を無理矢理前に出して、ヒマリのそばに行く
「ヒマリっ、ねぇ!ヒマリっ…」
『楓さん、でしたっけ?やめたほうがいいですよ。あなたなんかに根の仕事が務まるわけがない』
サイが以前私に言った言葉が頭の中に蘇る。
「ヒマリ、お願い、返事をして…お願い…」
昨日まで仲良くしていた仲間が、殺し合った。
「ヒマリ…ねぇ、ヒマリ…聞こえる??」
ヒマリはピクリとも動かず、目を開いたまま横たわっている。
「明日から、任務に、つくんでしょう?…おねがい…なんで…」
任務につく前に、修行をしていた根のメンバーは、1/2になった。
(これが、ダンゾウ様のやり方なの…?
…仲間を殺すことができたものが、強いの?)
ヒマリが参加した最終試験は、2人1組で命をかけて戦うものだった。
彼女は優しすぎたのだ。
一緒に修行をしてきた仲間を殺すことなんかできなかった。
『あなたなんかに根の仕事が務まるわけがない』
サイの言葉が何度も何度も頭の中で繰り返される。
ねぇ、サイ、あなたはこれを乗り越えてきたの?
わたしはもう動かないヒマリの前でまた再び気を失った。