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届かぬ想いと隣の君【NARUTO】

第5章 第七班



ずいぶん走った私は川辺に座って1人で考えていた。

さっきから、冷や汗が止まらず、それが涙なのか汗なのかもわからなくなっていた。

濡れてべっとりと顔につく髪もきにせずただ、ひたすらに荒く息を吸った。

「はぁっ…はぁっ…うっうぅ…」

守って欲しかったわけではない。
ただ、1人になりたくなかったんだ。
だから、頼って欲しかったし、役に立ちたくて…
なのに、ここにいたら皆が私を守ってくれて…隣にいてくれて…
相手のためじゃなくて、独りになりたくない自分のために動いていたのに。

私は1人になるべきだったんだ。

あの日…初めての任務の日…

私達、九班は巻物を届けるはずだった。
初めての任務、皆が緊張感を持ちながらしっかり任務を遂行しようとしていたのに…

『皆…落ち着いて聞いて。私達、今囲まれているみたいだわ…』

先生が突然小声で話した

『え?先生どういうことですか!?これはDランク任務じゃ…』

『わからない…けどこの状況を見ると…この任務はDランク任務ではなさそうね…』

『そんな!どうすればいいんだよ!?』

初めての任務で、見えない敵が周りにいる恐怖に私は鳥肌が止まらなかった。

程なくして直接戦うのは難しいと判断をし私達はバラバラに走って敵を撒くことにした。

それからはあまり覚えていない。
必死に逃げて、合流するはずのところに行った時には先生含め8班のみんなが戦っていた。
私の後ろにはそもそも敵は追いかけていなかったようで、私は敵に気付かれていなかった。
草陰に隠れていた私は戦っている先生と目が合い、『逃げて』と口が動いたのを見た。
でも…違うのかもしれない。本当は『助けて』だったのかもしれない。

結局足が震えて逃げる事も助ける事もできなかった私は、仲間が殺されるところをただただ、見ていた。


自分1人が生きることをえらんだ。
独りになる選択をした。
なのに、独りになるのが嫌で甘えてきた。

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