第13章 祝福の花びら
彼女が作ってくれた俺たちへの祝福の花吹雪の中
彼女は心から笑ってとこちらに笑顔を向ける
あまりにも綺麗な光景にしばらく見つめてしまう
(なぁ、オビト。本当に可愛いお姫様だろ?)
楓が誰を好きなのか、そもそもこいつは恋愛なんかするのか
それさえわからないけれど
やっぱりオレは楓の事が好きだ。
彼女はオレに心の底から笑ってと頼んできたが
今のオレはどんな顔をしているんだろうか
…今ここで告白をしようか?
そんな事が脳裏によぎるが、今祝福してくれている彼女の笑顔を壊すのは嫌だった。
溢れそうになる想いを閉じ込めるように、
俺は楓を思い切り抱きしめる
「ありがとう、楓。本当にありがとう」
(あぁ、懐かしいな)
昔よりも身長が伸びた楓を抱きしめると
より一層近くに彼女を感じる事ができた
好きだ。
好きだ、好きだ、好きだ…
一度認めればその気持ちで頭が埋まるのは一瞬だった
「もう逃げないよ。オレも戦う。」
ずっと自分に抱きつかれたままの楓は
なんのこと?って言いながらも
いつでも応援してるよと腕を背中にまわしてくれる
もうサイにも、テンゾウにも、渡したくない。
教師としてじゃない。
オレはどんな立場で楓に会っても好きになっていたのだとおもう。
顔を上げると
満開に咲いた花々がまた風と共に舞う
(なぁ、オビト。お前も応援してくれてるのか?)
そんなオレの心に応えるように
淡い色の花々が青空へ舞い上がり
俺はもう一言ありがとうと呟いた。