第3章 変化
「……しせんせ…っ!、……シ先生っ!、カカシ先生ッ!!」
「…!?」
「起きた!?大丈夫!?先生、すごく魘されて………ひゃっ!?」
急いで楓の首元を確認する
「………ない…。」
呪印が、ない。
あれは、夢だったのか…?
「…よかったぁ………」
自分のものとは思えないほど情けない声が出る。
目の前にいる楓を力一杯抱きしめた。
(本当に、よかった、本物だ…俺は夢を見ていたんだ…)
「え?え?先生てば!寝ぼけてる!?」
腕の中の楓がジタバタする。
その姿が本当に愛おしくて、安心からかポロリ涙がこぼれた
「…!?あ、えぇ、先生……、どうしたの…先生、泣かないで…」
楓は一瞬驚いたものの、腰に抱きついた俺を見て優しく頭を撫でてくれた。
(情けない教師だなぁ…俺は…。)
「…なぁ、楓は、俺を選んでくれたってこと……?」
夢の内容も知っているわけでもないのに、聞いてしまった。
大蛇丸じゃなくて、俺を…
楓は俺を選んでくれるのか…?
俺だけを…選んでくれるのか…?
「……カカシ先生、大好きだよ。」
いつもと同じ、楓がまっすぐと俺の目を捉えて離さない。
俺も…俺だって…
「…楓、好きだ」
自然に言っていた。
はっとする楓をみて、自分がとんでもないことを言ったと気づき慌てて付け足す。
「最高の、生徒だよ…。」
運命は非情なものだ。
俺はいつのまにか楓が好きだった。
自分の発した、生徒という言葉が重くのしかかる。
今日から…また、
(普通に戻らないとな…)
今後一切、思わせぶりなことはやめよう。
俺は教師で楓は生徒
あまりにも、不釣り合いな2人に明るい未来はない。
楓と距離を置こう。
それが楓の幸せになるのだから。
だから、最後に、今だけ、今この時だけはお前を感じさせてくれ…
俺はもう一度、力一杯楓を抱きしめた。