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届かぬ想いと隣の君【NARUTO】

第12章 草の壁


カカシside




目の前にある大きな草の壁を見てしみじみ楓の成長を感じていた

「すごいじゃない。それに楓の草遁はテンゾウの木遁と違って水分が多く含まれているから、
この間のように火力が高い攻撃でもすぐに破られることはなさそうだね」

そういいながら目の前にできた草の壁の葉を触る

「因みにね、タネさえ蒔いちゃえば、毒のある植物の壁もできるし、土の中を通って遠くの人の足元に草を生やすこともできるの!あっ、ちょっと待っててね!」

壁の向こうで何か楓がポーチをガサゴソする音が聞こえる

「草遁、草花再生」

壁の向こうで楓がそういうと
足元から可愛い花が咲いた。

「ついでにこっちも!」

そういうと目の前の草の壁も色鮮やかな花を沢山咲かせる

壁の向こうの彼女はオレがみないうちにどんどん成長をしていたことがわかる。

本当は今すぐ、昔のように凄いなと言って彼女の頭を撫でてあげたかった。

でもオレの目の前には今おおきな壁があって、
その向こうに彼女がいる。

それがなんだか今の自分と彼女の関係を示しているようで心が痛くなった

(本当は楓の幸せを喜ぶべきなのにな)

そんな事を考えていると壁の左側から楓が出てきた。

彼女の方を向いた瞬間強い風が吹いて
沢山の花が花びらとなって宙を舞う

そして花吹雪の中オレは楓と目が合った

「………綺麗だ」

自然に声に出ていた

それを聞くと楓は
ふふ、でしょう?この花、すごく綺麗だよね!
といつもの可愛い笑顔で喜ぶ

綺麗なのは、楓。お前の事なのに。

それをいつか、伝えられると良いのに。

「…あぁ、そうだな。そろそろ行こうか」

まだ宙を舞い続ける花びらたちを見て昔を思い出す。

『カカシ先生、大好き!』

そういってオレの元へ駆けてくる楓が可愛かった。
抱きしめるとバタバタとするくせにすごく嬉しそうで、撫でれば少し照れながら笑顔を見せてくれた。

でも、変わったんだな。

今オレの目の前にいる楓はただただ綺麗で
もうオレのところに駆けてくる事はないのだろうと思う。

これでよかったんだと自分を言い聞かせ、俺たちはパックンと共にイタチ探しを再開した。
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