第11章 君のくれた笑顔を君に
目を開けると涙を浮かべた彼女が
僕を見てにっこりと不自然で、でも一生懸命な笑顔で笑った
「えへへ…、こんな感じ…かな?
…サイ、本当にありがとう。
私は少しだけ自分を許せそうだよ。」
自分の理性とかそう言うものが全て飛んだ気がした
気づいたら僕は楓を抱きしめて、
また涙をポロポロ流す彼女に大好きだと何度も気持ちを伝えて、
彼女が落ち着いた頃、自分の家へ向かって帰った。
(きっと、今日のことはずっと忘れないだろう。僕が彼女にそうしてもらったように、
彼女がいつか、自分を本当に許せる日が来ますように、そしてできれば僕が、それを手伝えますように)
「…好きだ」
ぼそっと言葉にすると気持ちはもっと大きくなって。
君の笑顔を明日はもっと見れたらいいな
そんなことを思いながら
こんなに彼女が好きなこと
そして彼女に会ってからの自分の変化におかしさを感じ、思わずくすっと笑みが溢れた。
「…おかしいな。本当に。……大好きなんだな。」
君のくれた笑顔のお返しに
僕が君へ笑顔をあげられますように
君のくれた笑顔を、君に。