第11章 君のくれた笑顔を君に
楓side
暖かい日差しとシトラスのような爽やかな香りで目が覚めると
見慣れない部屋が視界に入る
(いつのまに寝て……ここは……)
爽やかな香りは自分にかけられたサイの布団の香りだと気づき、
一気に昨夜の事を思い出し、目が覚める
「わ!私…いつ寝て!?」
昨日サイとキスをしてからの記憶がかなり曖昧で
なぜこうなったのか覚えていないものの、
自分だけが布団で寝ていて、
服もそのままなのを見ると
十中八九、あの後私が寝落ちをしてサイがここまで運んでくれたのだろうと思う
(となると…サイはどこで寝たの…?)
恥ずかしい気持ちと申し訳ない気持ちを抱きつつ、リビングに行くと
サイがソファーに腰をかけてうたた寝をしていた
(昨日もソファーで寝てくれたんだよね…疲れ取れてないだろうな…)
せめてブランケットだけでもかけたいと思い近づくとサイは眠りから覚めてしまった
「……ん…、あれ、おはよう。楓。ごめん…さっき起きたんだけど…また寝てたみたいだ。楓いつ起きたの?」
意識をしないようにしてもいざサイと目が合うと昨晩と同じくらい鼓動が強くなるのを感じる
(な、なるべく自然に…!!)
「え、えっと…今さっき起きたばかりで…。昨日は本当にごめんなさい…まさかお泊まりまでしちゃうなんて…。」
サイは私の顔を暫く見つめると優しく目を細めて笑って、手を手前に振ってちょっと寄ってきてという
「えっなに…?」
サイの口元に耳を寄せる
「楓の寝顔もすごく可愛かったけど、今朝の照れてる楓も、すごく可愛い。」
「……っ!?!?は、恥ずかしいよ…!」
最近知った事だけど、サイの言葉はこれでもかってくらいストレートで心臓に悪い。
「迷惑だったらごめん。ただ、本当に可愛かったから。」
(悪気がないから、やめてって言えないし、迷惑ではないんだけど…!心臓が!もたない!!)
恥ずかしくて何も言えない私は暫く顔を隠して立ち尽くすと
それに対してもまた可愛いと言い続けるサイに私は
これから先どうなるのか、心配になってしまった