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届かぬ想いと隣の君【NARUTO】

第10章 交差する想い


サイside

思わずキスをしてしまった事に自分が一番驚いていた。

(だって、あんなに可愛いのは、反則だよね)

食器を洗いながら自分の行動を反省していたら楓が声をかけてきた

「………帰りたくない。」

!?!?

「えっ…楓…そ、それは……
ちょっ…ちょっとまってて…」

僕は最大限の冷静を保って、送っていくからと付け足した。

——————————————————

洗い物が終わって、手を拭いてからソファーの方に向かうと、既に楓は寝息を立てていた。

「楓…?」

起きて欲しいような、でもこのまま可愛い寝顔を見ていたいような、迷った挙句小さな声で名前を呼ぶ。

楓は全く反応せず、リズム良く一定の速度で息をしていた。

「……可愛い。」

ぼそっと呟いてさっきのキスを思い出して恥ずかしくなる

「ここで寝たら、風邪ひいちゃうよ…」

本当はただ楓に触れたいだけだった。
自分を言い聞かせるように言い訳を口に出すと僕は楓をお姫様抱っこで持ち上げる。

(思ったより、軽い…)

楓の細い腕に手を添えるとサクラのムキムキな二の腕を思い出して少し笑ってしまった

「…んー…。。」

持ち上げて少し起きかけたのか楓が声を出す

「楓、起きた?」

声をかけるとワンテンポ遅れて

「やだ…もうちょっと…。」

と寝ぼけた楓が言う

(ふふっ、この人は本当に忍っぽくないなぁ…)

「僕が狼だったらどうしてたの?」

愛おしい寝顔を覗き込んでから僕は楓の体を自分のベッドに乗せた。

正直理性を保つのは大変だった。

同じベッドに腰をかけていた僕は
何度もキスをしたい、楓にもっと触れたいと思ってはダメだと自分を言い聞かせていた。

(僕はこの人に、本当に惚れてるんだなぁ。)

前まではこんなに相手の気持ちと自分の気持ちに向き合うことはなかった。
それを楓が教えてくれた。

「好きだよ。」

聞こえていない言葉を発して、名残惜しく髪を撫でてから
僕はソファに戻って眠れない夜を過ごした。
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