第2章 マリー様 七種茨
年明け早々巫女のバイトなんて、働きすぎってまた怒られちゃうかな。
でも一回やってみたかったんだよね。
落ち葉集めとかお守りの販売とか、そんなことしかしないけど。巫女の服って可愛いし。
誰へとも言えない言い訳を心でした後、少し伸びをした。
「あ!だ!!」
学院の近くにあるからか、知り合いがチラチラ見えた。
「明星くん」
その何人かの中に一際仲の良い子が見えて、初めてこちらから声をかけた。
彼は大吉くんとの散歩の途中のようだ。
後から朱桜くんや姫宮くん、そして………弓弦くんにも会った。
弓弦くんを見たとたん、不思議とあの事が思い出された。
「えっと……忙しいなか申し訳ないんだけど、ちょっと相談事があるんだ。………時間ある?」
気づけば口走っていた。
「夜でもかまいませんか?日中は外せないので。」
それでも弓弦くんは快く答えてくれる。私は思い切り頷いた。その必死さが面白かったのか、彼はクスクス笑った。
愛想笑いを抜けば初笑いだと言うので、何だか恥ずかしくなった。
夜に彼の家の近くのコンビニの前で待ち合わせをし、散歩がてらに歩きながら全てを話した。
私の話を聞き終えた後、彼は大きなため息をついた。
「いいですか、」
「何?」
「まず、もう少し詳しく話してもらっていいですか?すみません、茨が………何です?」
…………あ、これめっちゃ動揺してるんだ。
弓弦くんなら何か聞いてたりしたのかと思ったけど、そんなことなかったみたい。
「えっと…SSの、trickstarのアンコールの時に舞台裏で楽屋に呼ばれて………。行ってみたら茨くんしかいなくて、何の用か聞いたら………」
「告白だった、と。」
「そうなの…。」
弓弦くんは顎に手を添えて唸った。
恐らく、茨くんを知る者ならこの反応に行きつくのだろう。
私だってそうだった。