第2章 マリー様 七種茨
『茨くん』
訓練の休憩時間中、はよく声をかけに来てくれた。
誰が名付けたのかよくわからない名前をその声で呼んでくれた。
の、声が好き。笑顔が好き。仕草が好き。スタイルが好き。顔が好き。
全部、大好きだった。
いや………それは嘘だ。
今だって好きだ。何て言われようと、好きだ。
嫌いになんてなれない。好きでしかない。
「これ、から、も………仲良く、して、くれる……?」
嗚咽混じりに途切れ途切れに。こらえていたようだが、ついに泣き出した。
「泣かないでください………」
こんな俺はそんな綺麗な涙に触れないんだから。
「わかりました…………えぇ、わかりましたよ…」
せいぜい、仲良くしましょう?
あなたがそれを望むなら。
俺は、幼なじみでいる。