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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第4章 【政宗編】おまけ


「おーいそろそろ始まるぞー」
「わー!りんちゃんがんばれー!」
「政宗様もお怪我をなさいませぬように!」
軍議が終わった安土城。
このまま剣術の稽古をしにいくという竜昌と政宗の野次馬をしに、他の武将たちと舞も二の丸に集まってきた。
「あやつらの稽古、最近ますます激しくなってきたそうだな」
「ええ…なんというか、お互い遠慮がなくなったというか。よく二人して傷や痣を作っていますね」
うんざりとした表情で家康が腕を組んだ。
「まったく。傷薬をいくら作っても足りやしない」
「りんちゃん女の子なんだから、ちょっとくらい手加減してあげればいいのに、政宗ったら」
「むしろ手加減しているのは竜昌のほうだがな」
「え!?」
光秀がククっと小さな声で笑った。

二人が広場の中央に進み出て、木刀を構えたそのとき、竜昌が思い出したようにふと口をひらいた。
「…政宗様」
「なんだ?竜昌」
「私、実は政宗様にずっと隠していたことがありまして…」
「ん!?」
珍しいはにかむ竜昌を見て、政宗はあからさまに動揺し、いったん構えた木刀を下ろした。
まさか、他に好いた男でもできたか…?
穴の開くほど竜昌を見つめる政宗を見て、竜昌は少し笑った。
「実は私…」
竜昌はそう言いながら木刀を持ち替え、身体の向きを入れ替えた。

「左利きなんですっ☆」

「えぇーっ!!」
野次馬の集団からも驚きの声が上がった。
「今までは、これも修行だと思って右手で刀を振って参りましたが、最近 政宗様も腕を上げられたので、そろそろ本気を出して利き手に戻したいと思います!」
「おいおい!今まで本気じゃなかったってのかよ!」
「ふふ」
政宗の背筋を冷や汗が流れた。今までのが本気じゃない?それじゃ本気の竜昌の剣技というのは…
「いざ!」
改めて剣を大きく構える竜昌。
しかしその時、政宗は悪戯を思いついた童のように目を光らせると、二・三歩 竜昌に近寄り、小声で囁いた。
「…じゃあお返しに」
「はい?」
「夜は俺も本気を出していいんだな?」
「っ!」
竜昌が息を呑む。ここのところ、寝所で夜な夜な繰り広げられている『別の』稽古を思い出して、竜昌は耳まで真っ赤に染まった。
「朝まで寝かしてやんねえぞ?」
「な…」

「おい、あいつら何を喋ってるんだ」
「なんでしょうねえ・・・」
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